
インターネットで<経営の神様>と検索すれば日本人ではただひとり松下幸之助の名前が上がります。もう亡くなって22年たちますがいまだに、この敬称は日本ではただ一人にしか使われていません。
日本最大の総合家電メーカー、パナソニックの生みの親です。一代で世界的大企業に成長させました。彼が、そんなにも実業界からの尊敬を集める一つの理由は、彼には学歴がなかったからです。名門の子弟という立場でもなかったからです。当然、親の資産にも無縁でした。
文字通り裸一貫からの大出世でした。9歳で丁稚奉公に出され、17歳で電気工事店に転職、夜学で学んでソケットの開発に取り組むのです。この成功譚はもはや日本実業界の伝説になっています。もちろん時代背景が彼を後押ししたことは間違いありません。
日本が戦後社会から空前の好景気へ、世界の経済大国に突入する時代の話です。電気というものに目をつける先見性のすごさもさることながら、地道な研究心が世界的大企業を生みだし、その後の組織の運営や社員に対する福利厚生の充実など日本的企業体質の母体をつくりだしたのです。
一流の実業家といわれるようになったのちも松下政経塾の創設やPHP活動など明確な社会貢献意識を持った行動が社会の尊敬の対象になりました。松下政経塾の卒業生は、現在の実業界や政界に多数の人材を輩出しています。松下幸之助は時代が生み出した実業家というよりは、時代をそだてた実業家というにふさわしい経営の神様なのです。